■ JQ2MPJ(本局)
▼ 戻る
▼ 記録情報など
▽ U.S.
FCCライセンス
◇ 資格制度
◇ 法令
◇ ライセンスの管理
◇ バンドプラン
◇ 試験制度
◇ 勉強方法
◇ 受験記
◇ 関係リンク集
◇ 相互運用協定等
◇ コールサイン
◇ 局開設の実務
◇ 実運用
◇ ボランティア試験員
(VE)
■ 沿革
■ リンク及び著作権について
■ 免責規定
|
U.S.
FCCライセンス
2023-07-08 作成
2023-07-28 1訂
ボランティア試験員
要点まとめ
|
1.FCCライセンス
(General以上のクラス)だけですぐにVEとしての活動はできない。
別途VECからVE 認定を受けないとVEとしての活動はできない。
2.VE認定に試験はないが、オープンブックレビューと呼ばれる質問集への回答が必要。
3.ARRLの場合、VE認定の期限はFCCライセンスの期限日と同じ日である。
4.FCCライセンスの更新をしたら、ARRLのVEオフィスにも更新希望を連絡する。
(更新期限日から5年以内に試験従事した場合は自動更新)
5.VECによりVE認定の手続や期限等の条件が異なる。
|
- アメリカのアマチュア無線試験で日本を含む世界各国と大きく異なるの
は、国家試験の執行はアメリカ政府は一切行わず、所定のアマチュア無線資格を持っている人であればほとんど無条件で試験
執行を認めている、「Volunteer
Examiner(VE)」(ボランティア試験員)制度です。
- FCC規則によるVEに対する条件は、おおまかに、「FCC規則を遵守
すること」「所定のクラスのアマチュアライセンスを有すること」「18歳以上であること」「規定の親族の試
験は執行できないこと」「FCCの認定している試験団体(VEC)に所属すること」の5つです。
- VECは、2023年現在十数団体認定されていますが、海外での試験執
行をの実績があるのは「ARRL」と「W5YI」の2つのVECです。どこのVECもFCCの認定を受け
ていて、NCVEC(VECの統括団体)が作成する共通のクエスチョンプール(試験問題)を使用して試験を
執行していますので、根本的にはほとんど同じですが、VECによって若干違う部分もあります。
- VECにより若干違う部分:
- 受験料
受験料はVECごとにFCCの認定を受けますので、違います。例えば2023年現在でARRLは$15
ですが、W5YIは$14です。$12というところもあります。
- 受験機会(試験開催頻度と場所)
所属しているVEが多いほど、頻度や場所が増えます。
- 外国人(アメリカ市民)以外の受験を認めているか
本来はFCC規則としては、国籍等による差別をしてはいけないのですが、比較的規模の小さいVECで
は、受験者をアメリカ市民権を有する者に限定していることがあります。
- アメリカ国外での試験執行を認めているか
FCC規則ではアメリカ国外での試験執行を禁止はしていませんのでどこのVECでも実施は可能ですが、
多くのVECでは国外での試験を積極的に行っていないと思われます。
- VEの認定方法
VECからの認定を受けて初めて「VE」と名乗ることができるようになります。基本的にはFCC規則に
よるVEになるための資格さえあれば良いのですが、実際にVEとして試験を執行するには、クエスチョン
プールの知識だけでは充分とは言えないので、VECごとに所定の手続きと認定を受ける
ことのできる基準を定めています。
- VE認定の受け方(ARRL)
ここからは実際に私が認定を受けたARRLのVE認定を受ける方法を簡単に説明します。
- 前述の通り様々なVECがありますが、日本人が日本国内で試験を執行
するためのVE認定ということであれば、実績のある「ARRL」か「W5YI」の二択になります。他の
VECは実績がありませんし、わざわざ実績のない(積極的でない)VECに交渉し、無理して所属する必
要もありませんので、実績のあるVECを素直に選択した方がよいです。その中でもやはりARRLはアメ
リカを代表するIARU加盟のアマチュア無線団体であり、VE認定を受けるための手順も明確かつオープ
ンであるた め、ARRL-VECへの参加をお勧めします。
ただし、基本的に認定を受けているVEC以外の試験には参加できません(VECごとに認定が必要)の
で、特定のチームに所属することを望んている場合はそのチームが所属しているVECを選択する必要があ
ります。
- 認定手続
- FCCのVEの条件を満たす。
- VECのVE認定の条件を満たす。
- 「オープンブック」と呼ばれるVEマニュアルを熟読する。
マニュアルは無償でPDFとしてダウンロードができます。
- 「オープンブックレビュー」と呼ばれる質問集に回答する。
基本的にはFCC規則によりVEになることを既に認められているため、試験の類ではなく、あくまで
理解を深めるための質問集です。
オープンブックを見ながら自宅で一人で回答すれば良く、できる限り空欄は無いことが望ましいです
が、少々の空欄は許容されるようです。
私がやってみた感覚では、基本的にはオープンブックレビューに書かれていますが、一部見当たらない
(探せなかった)問題が3問あり、そのうち2問はFCCへの申請関連の質問でFCCのサイトを検索
したら出てきました。残り1問は不明ですので見当はずれなことを書いておかしな誤答するよりは空欄
の方が潔くていいかなと思って空欄にしておきました。
- 「VE申請書」を記入し、最後の同意事項に同意できるのであれば
サインする。
申請書上の住所は、ライセンス上の米国の住所と一致している必要はありません。日本の住所でも可能
で、日本の住所を書けば認定証も日本に送ってもらえます。日本の住所を書いた場合、ARRLのVE
リストには「Non-US」カテゴリで公開されます。米国の住所を書くとリストは「州ごと」に区分
されます。
- ARRLに「VE申請書」と「オープンブックレビュー」を提出す
る。
郵送、FAX、電子メールのいずれでも提出できます。申請書類を送る際の郵送・通信料は自己負担で
すが、その 他手数料(認定書の送料等も)は必要ありません。
注)VECには認定
を希望するVEを必ず受け入れる義務はありませんので、制度としては拒否されることもあり得ま
す。
- 提出の翌々日に「認定には3週間ほどかかります」と返信メールが
届きました。
認定されると、VE一覧ページ(http://www.arrl.org/ve-session-
counts?state=Non-US)に公開されます。
1か月ほど経過しても一覧ページにも載らず音沙汰がない場合は、電子メールで問合せしてみます。
私の場合、6月6日申請(メール)で、1か月経過しても音沙汰なかったので、7月6日に問い合わせ
たら翌日(アメリカ7月6日付け、時差が-13時間あります)に認定ページに載りました。忘れられ
ていた?パターンですね。
- 認定証とIDバッジ(IDカード)の受領
認定から1週間ほどでARRLのオフィスから発送されますので、日本に届くのは認定から更に1か月
ほどかかります。
私の場合は、7月25日に日本の住所に到着しましたので、認定からおおよそ3週間でした。
認定証はUSレターサイズ(だいたいA4)1枚、IDバッジは旧運転免許証よりもう一回り大きいく
らいのラミネート加工されたもの1枚です。ラミネートとはいえ、一般的なカードぐらいの厚みのある
ものですので、すぐによれたりすることはなさそうです。
IDバッジはテストセッション(試験)中は常時、他の全てのVEに見えるように着装する必要があり
ます。IDストラップに吊るせるように上部に長穴が開いています。ストラップはARRLショップで
専用のものが別売りされています(ストラップは自由です)。
IDバッジには、エクストラクラスであることが明記されています。認定証の方はクラスの記載はあり
ませんが、「アマチュアラジオライセンスに従って」という認証文があります。認定証は持ち歩く必要
はありません。
普通郵便で届きましたが、厚紙補強などはされずペラそのまま封筒に入れられていましたので、到着時
にすでにかなりしわしわになっていました。雨天の配達だったらもっとひどいことになっていたかもし
れません。国際郵便では、カタログなどでもかなりぐちゃぐちゃで届くことは度々あるので、DXCC
は筒に入れて送ってくれるのですが、VE関係は無償なので致し方ないでしょう。
- その他の参考事項
- VE認定はVECごとに受ける必要があります。
ARRLの認定でW5YIの試験を執行することはできませんし、その逆ももちろんです。ただし、複
数のVECに認定されること自体は禁止されていませんので、それぞれのVECで認定を受ければ試験
を執行できます。
ARRLの場合は、他のVECの認定を受けている場合、「オープンブックレビュー」が免除され、
VE申請書のみの提出で認定を受けることができます。
- ARRLのVE認定期間はVEのアマチュアライセンスの満了日と
同じ日です。最大で10年間となります。
ARRLのVE認定の維持は比較的甘く、初回から最大約10年の期限が与えられます。
更新日から過去5年以内に試験を執行した(VEとして署名した)場合は、自動更新となりますが、そうでない場合は満了日までに更新したライ
センスを添付してVEオフィスに更新する旨を連絡する必要があります。
失効すると改めて申請が必要で「オープンブックレビュー」からやり直す必要がありま
す。うっかり失効しても、今のところ再認定も無料で可能です。
更新すると、新しい有効期限ステッカーが届くそうです。
なお、W5YIの場合は2年の間に最低1回試験を執行(署名)しないと、非アクティブとされてオー
プンブックレビューからやり直しとなりますので、日本国内では受験者が多くはないので、維持がなか
なか厳しそうです。
- コールサインの変更
バニティコールでコールサインが変更になった場合は、ARRLのVECオフィスに連絡する必要があ
りますが、認定証やIDカードはそのまま使用できるようです。気になる場合は有償で再発行してもら
えるそうです。そのまま使い続ける場合は、次の更新でステッカーの代わりに新しい認定証とIDカー
ドが改めて発行されるそうです。アップグレードでのコールサイン変更は未確認です。少なくとも日本
ではExtra取得後にVE申請される例が多いと思いますので。
- VE認定は必ずされるわけではない。
Generalクラス以上のアマチュアライセンスを有している場合、FCC規則によりVEとして試
験を執行することを認められていますが、VECには全ての希望者をVEとして受け入れる義務はあり
ません。例えば既に所要の人数が確保出来ているなどの理由があれば拒否される可能性もあります。
- VE認定を受けていても必ず試験を執行できるわけではない。
VECにVE認定されていても、VEとして試験執行するには最低3人のVEと共に「VEチーム」を
組織しなければなりません。チームはVECから指定される訳ではなく、自分で組織するか既に組織さ
れているチームに加入する必要があります。単発で即席チームを組織しても問題はありませんが、即席
チームはVE同士のコミュニケーション等に難が発生するかもしれませんので、通常は特定のチームに
所属して、そのチームが定期的に実施する試験に参加して先輩VEに習う形になります。
ARRLでも初任のVEはトレーニングを兼ねて既にあるチームの試験に数回は参加することを推奨し
ています。
チームに加入しているかどうかを問わず、チームリエゾン(チーム責任者)が、試験執行への参加を認
めない限りVEとしての業務を行うことはできません。チーム責任者は誰とチームを組むのかを決める
権利があります。
1つの試験でVEは3名しか参加できませんので、それ以上のVEが参加している場合は、話し合い等
により誰がどの受験者の試験を執行するVEを決めることになります。VEの人数に余裕があれば受験
者一人ごとにVE3人で執行したり、VE3人で10人の受験者を執行することもあるかもしれません
が、しっかり受験者を監督できる体制である必要があります。
また、自分の体調や判断力等が試験を執行するにふさわしくないと自分で思ったら、やらないという自
制も求められています。
|