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  U.S. FCCライセンス 

 2022-12-26 作成
2023-01-03 2訂



ライセンスの管理

要点まとめ
1.完全電子化されている。
  「公式のアマチュア無線ライセンスは、 ULSに存在する電子記録である。」
2.10年間有効で、90日前から更新手続きができ、都度$35かかる。
3.FRNで紐づけされた"CORES"と"ULS"という2つのシステムで管理されている。
4.ペーパーライセンスが必要な場合は、オ フィシャルコピーを自分で印刷する。
5.オフィシャルコピーを印刷したときは、自分のサインが必要。
6.FCCからの通知は原則電子メールで送信される。
  「電子メールが不着だとライセンスがサスペンド(凍結)になる。」


  • アメリカのライセンスは、現在、完全電子化(ULSというデータベー スで管理)されているので、紙のライセンスは発行されません。2021年1 月から、FCCから紙のライセンスを郵送することを完全に廃止しました。


  • ULSの歴史
    • 1999年にULSを開始。当時はまだインターネットも十分 には普及しておらず、ULSにアクセスできる人は限定的でしたので、従来通り、FCC特殊用紙 に印刷した紙のライセンスを全てのライセンシーに郵送し、この紙のライセンスには正本としての 信頼性がありました。

    • 2015年2月からは、アメリカ政 府の「ライセンスの郵送は真剣に再検討して、出来る限り電子化していくように」という通達に従い、 FCCは、「公式のアマチュア無線ライセンスは、 ULSに存在する電子記録である。」として、正本をULS内の電子記録にするという大転換をしました。
      それからも、希望者にはFCCが代わりに普通紙に印刷したライセンスのオフィシャルコピーを郵便で 送る制度もありました。これは、FCCが特別に認証したライセンス証明書という性格のものではあり ませんでした。

    • 2021年1 月からは、FCCから紙のライセンスを郵送することを完全に廃止しました。
      参考:https://www.arrl.org/news/fcc-paperless-amateur-radio-license-policy-goes-into-effect-on-february-17


  • ライセンス関係のオンラインシステム
    • CORES(コミッション・レジストレーション・シス テム)
      • https://apps.fcc.gov/cores/userLogin.do
      • FRN(FCC・レジストレーション・ナンバー)の管理、ラ イセンス申請料金の支払の管理に使用します。このCORESでFRNを登録しないと、下記 ULSの使用ができませんし、ライセンスの申請はおろか試験すら受験できません。
      • 試験を出願する前に、CORESにユーザー登録し、事前に FRN登録までは済ませておく必要があります。CORESの登録とFRNの登録は別々で、 CORES登録→CORESにログイン→FRNとFRNパスワードの登録を申請します。
      • アマチュアの場合、VE試験を出願する時点で必要となりま す。
      • CORESやFRNを登録しただけでは費用は一切かかりませ んので、FCC試験を受ける気になったらアメリカのシステムになれるためにもまず登録しておく とよいです。
      • 登録手続自体は、20分もあれば十分で、FRNも即時登録有 効ですが、現地時間の土日はシステムメンテナンスダウンが頻繁にあるので、余裕をもって手続し た方がよいです。
      • 初回ライセンス料金($35)の支払いは、このCORESシ ステムに届きます。クレジットカードで支払いができます。
    • ULS(ユニバーサル・ライセンシング・システム)
      • https://wireless2.fcc.gov/UlsEntry/licManager/login.jsp
      • ライセンスの申請や管理(変更・更新・返納等)に使用するシ ステムです。
      • CORESで登録したFRNとFRNパスワードを使用してロ グインします。
      • ULSへのログインは、CORESにFRNを登録したらすぐ にできます。ログインしてもアマチュア関係では、この時点で使用できる機能はありません。
      • ULS自体はアマチュア専用のシステムではないので、他の業 務局の申請などにも使えます。
      • アマチュアの場合、VECからの経由申請(アプリケーショ ン)がFCCに登録された時点から、ULSにアプリケーション(ペンディング)として表示さ れ、承認されればライセンスとなり、実際に使用できます。
      • ULSは、公開部分(日本でいう無線局免許情報検索)と、個 人部分(日本でいう電子申請システム)が合体しています。FRNログインなしでは、公開部分の みが閲覧できます。


  • ライセンスの証明

    • オフィシャル(正本)
      • ULSに電子的に記録(表示)される内容がFCCがオフィシャル (正本)として認めているものになります。
        (↓表示例)
        ULS PrintScreen

      • ULSは、ユーザー登録なしで、だれでもいつでも使用できますので、誰 かのライセンスを確認したければ、ULSで検索して確認するというのが正規の手続です。ULSで検索すると、その時点で該当するライセンスに記載されている情報 は全て表示されます。ULSは、そのものが従来の紙のライセンスと同じ効力を有しますので、住 所、氏名も含めて全公開されているのが、日本の無線局免許情報検索とは異なるところです。
        ※電 子メールアドレスはFCCに登録されていますが、ライセンスの記載事項ではないので表 示されません。
      • アメリカ国内では、ULSに自分のライセンスが記録されれば その時から運用を開始できます。

    • オフィシャル・コピー(正本の写し)
      • ULS にログインしてライセンシー本人であると確認されると、オフィシャルコピー(正本の写し)PDFがダウン ロードできます。

      • 簡便な場面(官憲のちょっと免許拝見)や、ULSなど知らな い一般人、アメリカ以外の国で相互運用する場合、第三者に対して資料として提出する場合、家に 飾ったり携帯する場合などに、紙のライセンスも需要があるということはFCCも認識しているので、このようなPDFが用意されています。

      • PDFは、旧紙のライセンスのレイアウトが施されたもので、 掲示用のA5サイズ程度のものと、携帯用のもの(日本の旧ラミネートタイプ免許証と同じぐらい の大きさ)があり、自分でカットするものです(カットせずサインのみしてそのまま持っていても 有効です)。ただ、2022年12月現在で、掲示用の方のレイアウトが一部崩れてしまっていま す。

      • Official Copyのウォーターマークが入りますので、リファレンスコピーとの見分けは容易ですが、オフィシャルコピーPDFにはFCCによる見た目や印刷では見え ないセキュリ ティが施されていて、FCCにライセンス証明の資料として提出する場合、FCC試験のアップグ レード受験や、VE登録などにPDFそのものをオンライン提出することで使用できます(PDF そのものの場合、FCCのセキュリティがあるので、サインは不要ですというか、書けません)。

      • オフィシャルコピーPDFは、本人しか取得できないというも ので、オフィシャルコピーを提出できること(ファイルそのもの)がライセンシー本人である確認 の1つとしても使用されているので、むやみやたらに第三者に公開してよいものではありません。 特にオフィシャルコピーのPDFそのものをネットに置いておくのは絶対にやめた方がよいです。
        自分のサイトにライセンスを掲載したりする場合は、誰でも取得で きるリファレンスコピーか、オフィシャルコピーを画像等に再変換したものを用いる方がよいで しょう。

      • オフィシャルコピーは、印刷した場合、ライセンシー(自分) が、署名しないと有効になりません。
        (パスポートやクレジットカー ドのようなもので、サインがない場合は無効です。)

      • 日本などのアメリカ国外で運用する場合は、ライセンスを証明 する書類として、オフィシャルコピーの印刷を所持することが必要とされている場合がほとんどで すので、この場合、印刷してライセンスの署名欄に自分のサインをすることによりFCCの公式書 類として認められるようになっています。


    • リファレンス・コピー(参考資料)
      • ULSに登録されている内容が、オフィシャル・コピーと同じ フォーマットで表示、印刷できる、"参考資料"としてのコピーです。
        ULS
                            RefCopy

      • リファレンス・コピーは、ただの参考資料ですので、だれでもいつ でも取得できますの で、赤の他人が自分のライセンスのリファレンスコピーを持っているということもあり得ます。

      • PDFで提供されますが、FCCによるセキュリティはなく、 Reference Copyのウォーターマーク(すかし)や注意文も入ります。個人的には、ここまでオフィシャルライセンスに酷似していなくてもいいとは思いますが。


  • 免許申請
    • 試験に合格すると、VEC(試験団体)が、FCCに対して免許を申請 しま すので、受験したVEチームの指示に従います。In-Personの場合は、Form 605という免許申請書を記入してVEに提出します。※ExamToolの場合は自動的に作成され、免許申請まで行われるようで す。

    • 免許が出るまで(コールサインがもらえるまで)のごく短期間に、更に 次のElementにステップアップする場合は、ライセンスのオフィシャルコピーの代わりに、CSCE を提示するよう、CSCEに記されています。

    • 既にFCC免許(コールサイン)がある場合のステップアップは、科目 合格証明書を受領したら、直ちに合格したElementに対応する資格で操作ができます。免許は前述同 様、科目合格証明書の期限内にアップグレードを申請する必要があります。

      注:コールサインの後に「AG等」の符号を付して免許を更新していないことを示す必要はあります。
    • まだFCC免許(コールサイン)がない場合は、科目合格証明書のみで は操作はできませんので、操作を急ぐ場合は、免許を早く申請しましょう。(コールサインがないから当た り前ですよね)

    • FCC免許は、10年間有効です。

    • 制度上は、オペレータライセンスとステーションライセンスが区別され ていますが、日本の ようにオペレータライセンスのみの保有はできず、1枚のラジオライセンス(免許状) になっています。

  • 更新
    • 90日前からFCCのULSシステムで、できます。
      • 更新する: $35で、現在の期限日から10年更に伸びます。
        なお、90日より更に前からでも手続きははできますが、承認日から10年になり、残存の期限は放棄 すること になります。
      • 更新しない: ステーションライセンスはリボーク(コールサイン が失効)し、オペレータライセンスはサスペンド(凍結)されます。
      • 復活(猶予期間内): 2 年間の猶予期間内であれば申請により試験を受けることなくオペレータライセンスは復活できますが、コールサインは新たなものになります。旧コールは、他に 割り当てされていない ことを条件に、バニティコールとして改めて申請することはできます(手数料が二重にかかります)。
      • 再試験(猶予期間外): 2年間の猶予期間を超えると、再試験と なります。
        今までは新規受験と同様で、Element2から順に合格して、合格したElementに対応する クラスが新たに免許となっていました。(過去のクラスは無効となっていました)
        近頃改正があり、再試験(軽減措置)が導入され、Element2(テクニシャン)にのみ合格すれ ば、失効したクラスで復活します。既に、失効後に改めてテクニシャン以上のクラスの免許を受けた場 合で、現在のクラスが失効したクラス以下である場合は、申請により、失効前のクラスを復活させるこ ともできるようになりました(要手数料)。
        注:Element2のみ合格すれば、以前に受けていたオペレータクラスのライセンスが復活しま す。ス テーションライセンス(コールサイン)は、新規となり、旧コールは復活しません。
    • 他、FCCに登録しているライセンシー(免許人)メールアドレス宛て の通知が届かないとFCCが認識した場合は、即時にステーションライセンスは失効、オペレータライセン スも凍結されます。




 

 

 

 

de JQ2MPJ 湯浅 徹

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