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  U.S. FCCライセンス 

 2023-02-05 作成
2023-04-23 1訂



日本のアマチュア局をFCCライセンスで開設する場合の実務

要点まとめ
1.申請書(手数料、電波利 用料)は同じもの。電子申請もできる。
2.再免許時にも忘れずオフィシャルコピーを提出
3.FCCライセンスの期限と合わせるため、免許期間が5年無い更新が1度ある可能性がある。
  ※詳細後述
4.FCCライセンスの更新が重なる年は、再免許期間が2か月間に制限されるので出し遅れに注意
5.どうしてもその2か月内は無理(入院等)の場合は、FCCライセンスを期限前更新して再免許を手続 する。


  •  FCCライセンス(相互運用協定)を根拠として、日本国籍を有する者が 日本のアマチュア局を開設する場合は、国内の無線従事者資格で開設する場合とは若干異なる取扱になります。


  •  ここに記述している情報の根拠は、「電波法関係審査基準」という総務省 の内部資料(訓令)に定められています。内部資料のため法令集やネット上には公開されていませんが、非公開 文書ではありませんので、行政文書開示請求を行えば誰でも全文開示されます。


  •  海外の方がこのページを見ることはないと思いますので、「外国籍の方が 開設する場合」は記述していません。日本国籍を有する者が開設する場合とは、また別の取扱になります。


  •  申請書は日本の従事者資格で開設する場合と同じです。電子申請も利用可 能です。手数料も変わりません。交付される免許状も同じものです(外国籍の方だと、免許状は英文併記になり ます)。もちろん電波利用料も同額あります。

  •  ざっくり、手続そのものは、電子申請の場合、無線従事者免許証の番号の 欄にある「施行規則第34条の8に規定する外国政府の証明書」に チェックを入れてから、書面の場合は、無線従事者免許証の番号の欄にそのまま、「アメリカ合衆国  Amateur Extra (コールサイン)」を直接記載して、「サイン済みのオフィシャルコピー」を添付書類として提出するだけです。これだけです。


  • 1. 無線局免許(再免許、資格変更)時に、ライセンス証明書(オフィ シャルコピー)のコピーの提出が必要になる。
    •  当たり前といえばそれまでです。日本の従事者 免許の場合は、免許証の番号を記載すれば総通が勝手に確認しますが、FCC ライセンスは日本では管理されていないライセンスのため、総通に証拠を提示しなくては審査ができませ ん。まさか、「私はU.S.のエクストラです」という自己宣誓で「はいOK」とはなりません。

    •  注意点は、再免許申請にも都度オフィシャルコピーの添付が必要にな ります。これは、再免許時において「有効期限を確認」して、ライセンスが有効であることを確認し、局免 の有効期限を決定するため(次述)です。電子申請の場合の再免許申請書は無線局事項書及び工事設計書が 不要とされていますので、免許証番号を記載する欄はありませんが、FCCライセンスを添付していないと 書類不備になりますので、備考欄に「無線従事者の資格 アメ リカ合衆国 Amateur Extra (コールサイン) 有効期限 ××年××月××日まで」のように記載しておけば良いでしょう。


  • 2. 無線局免許の有効期限に制約がかかる。
    •  無線局免許の有効期限は、日本国籍者の場合は日本の従事者資格で申 請した場合と同様の5年間なのですが、FCC ライセンスに有効期限があるのでその絡みから1度調整が生じる可能性があります。
      ※総通によっては、日本国籍者の場合FCCライセンスの 期限と関係なく5年の免許を出してくれる場合もあるようですので、そうならラッキーと思ってくださ い。
       文章で説明するには分かりにくいので、図示します。(私の移動する局の例)

       操作する根拠となっている無線従事者資格(FCCライセンス)の有効期限を超えて日本の無線局免許状 が有効になることはないということです。
       なお、FCCライセンスの「Expiration Date」は、「この日から失効」として日本では扱われているようですので、「Expiration Dateの前日」が日本の局免の期限日になります。日本の局免で5年というのは開始日を含みますので、 それと同じ解釈をするのだと思います。
       再免許後の新たな期限日は、FCCライセンスの期限を越えなければ任意に指定ができるので、直近の再 免許で自主的に期限指定をして調整しても構いません。移動する局と移動しない局の期限を指定して合わせ てて更新を失念しにくいようにするというのは時折耳にします。逆に失効(無免許)を恐れて両方をあえて 間隔をあけて別々にするという方もいますが。
       なお、5年の無線局免許が交付され、FCCライセンスがそれまでに期限切れや取消を受けた場合、電波 法関係審査基準「30 不法に無線局を開設して告発された者の申請に係る免許等について」にが準用されるものと考えられ、この規定によれば「既に免許を与えられている者が、従事 者免許の取消処分に付せられた場合は、再び無線従事者免許を取得するまでの間は運用を休止しなければな らないこととなる。また、この場合、再免許の時期に、アマチュア局の免許の可否について考慮する。」


  • 3. 再免許の時期に制約がかかる。
    •  上述の有効期限と似た問題ですが、日本の無線局免許は、有効期限の 1年前〜1か月前までの間であれば再免許を行えます。(近々、6か月前〜1か月前に改正される見込みで す。再免許を早く出しすぎて、その後変更申請したいという人が意外といて、そ の処理が大変手間だそうです。)
    •  しかし、FCCライセンスは有効期限の3か月前からしか更新が行え ませんので、FCCライセンスの更新が重なる年の更新では、FCCライセンスを更新→日本の局免を再免許と いう順序にせざるを得ませんので、FCCライセンスを更新後の3か月前〜1か月前の 2か月間で再免許申請を行わなければなりません。
    •  FCCライセンスを先に更新しないと根拠となっている従事者資格の 期限がそのままなので、仮に再免許申請しても、再免許される根拠がありません。
    •  実際は再免許を出してしまうと、新しい免許の有効期間が開始するまでの間は、 原則として無線局の変更申請ができませんので、多くの方が直近に出されていると思いますので、あま り影響はないと思いますが。
    •  なお、FCCライセンスは、期限 前更新も可能ですが、残りの期間は放棄(手続日から新たに10年間)となります。どうしても該当の 「2か月」間でやれないよという場合は、FCCライセンスを更新してしまうか、その局の免許に見合 う日本の無線従事者免許があれば変更してから、再免許申請を提出することになります。


  • 4.規則上は、国籍の確認がある
    •  一番初めにちょろっと書いていますが、同じFCCライセンスでの開 設でも「日本国籍者」と「外国籍者」では、取扱(添付書類、審査方法、有効期限)が異なります。日本の 制度のため、日本国籍者が有利かつ簡略に定められているので、その恩恵を受けるにあたり「日本国籍を有 すること」の確認があります。
       実際に求められたということを見聞きはしていませんし、私も従事者資格を試しにFCCライセンスに変 更してみました(2アマがあってその範囲内の設備しかないので特段変化はありません)が、国籍の確認は ありませんでした。


  • 関連規定 電波法関係審査基準 第15
    • 21 外国の相当する資格を取得した日本人が開設するアマチュア局について
      • (1) 免許人
        日本国籍を有する者であって、外国の相当する資格を有する者であるこ と。
      • (2) 免許の有効期間
        免許の有効期間は、施行規則第7条第7号に規定する期間とすること。ただし、外国の相当する資格の 有効期間がこれに満たない場合は、その期間とすること。
      • (3) 免許申請手続における資料提出
        法第7条第6項の規定に基づき、資料の提出を求め、次の事項を確認するものとする。
        ア 日本国籍を有すること
        イ 外国の相当する資格の有効期間


  • 第一級アマチュア無線技士 ≠ エクストラ である。
    •  これも当たり前といえばそれまでですが、法的にひも解いてみます。

    • 電波法第39条の13
      アマチュア無線局の無線設備の操作は、次条の定める ところにより、無線従事者でなければ行つてはならない。た だし、外国において同条第一項第五号に掲げる資格に相当する資格として総務省令で定めるものを有す る者が総務省令で定めるところによりアマチュア無線局の無線設備の操作を行うとき、 その他総務省令で定める場合は、この限りでない。」です。
       解説:本来は無線従事者でなければならない操作を、ただし書きにより「アマチュア無線技士相当資格」 として例外的に認めているものです。つまり、ただし書きで認められている場合は、厳密には無線従事者で はないと いうことになります。

      ただし書きの後半は、ゲストオペや無資格者の体験運用についても適用されています ので、無資格者が無線従事者とはならないから、ただし書きは無線従事者となりえないという解釈です。



    • 電波法施行規則第34条の8,9
      「(アマチュア局の無線設備の操作の特例)第三十四条の八 法第三十九条の十三ただし書の総務省令で定 める資格は、外国政府(その国内において法第四十条第一 項に規定する資格(注:日本の無線従事者)を有する者に対しアマチュア局に相当する無線局の無線設 備の操作を認めるものに限る。)が付与する資格であつて総務大臣が別に告示する資格 とする。
      第三十四条の九 前条に定める資格を有する者がアマチュア局の無線設備の操作を行うときは、総務大臣が別に告示するところに より行わなければならない。」
       解説:電波法から委任を受けて、少し具体的に定められたものです。外国政府が付与していて、更に告示 されている(対象の)資格であることと、操作するときは別に告示される方法に従うものとされます。かっ こ書きで外国政府側も日本の資格での操作を認めているものに限るとあるので、これは相互的でなければ日 本では許可しない(そうでない取決めは締結してはいけない)ということも示唆しています。更に可能性だ けで話をすれば、元となる取決め(口上書)の改正や解消、国交断絶等により、相手国が日本のアマチュア 資格を認めなくなったら、この条文によりその外国政府の相当資格はブロックされてしまうということにも なります。

    • 郵政省告示第326号
      前述の上位法規「
      電 波法施行規則第34条の8,9」からの委任により詳細を定めたもので、これが最終に なります。

    • 外国の資格で操作を行う者は2種類に分けられて
      「電波法第40条第1項第5号に掲げる資格に相当する資格」=別表第1号資格者
      「当該資格を有する者」=別表第2号資格者
      に区分されます。

      別表第1号資格者は、「日本のアマチュア局に係る無線従事者の資格」欄で、日本の各級アマチュア無線技士= 無線従事者相当とされ、一人単独での操作が許されています。「第〇級アマチュア無線技士相当資格者」と名 乗っても問題ありません。操作範囲は基本は日本の各級アマチュア無線技士と同じ操作範囲ですが、アメリカと カナダの一部資格では条件がつけられています。

      別表第2号資格者は、いわゆる旧規定によるもので、どちらかというとゲストオペに近いもので、無線従事者の 立会が必要です。本国で操作を認められている範囲で、日本の法規(局免やバンドプラン等)を超えず、立ち会 う無線従事者の資格を超えないものが操作範囲となります。「電波法第40条第1項第5号に掲げる資格に相当 する資格」ではないので、「第〇級アマチュア無線技士相当」とはなりません。





 

 

 

 

de JQ2MPJ 湯浅 徹

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